石川県で観測史上最大を記録した大雨。
能登地方では、川の氾濫や土砂災害などの被害が相次ぎ、これまでに6人が死亡、10人の行方がわからなくなっています(23日午前8時時点)。

輪島市では、22日午後10時50分までの48時間で、観測史上最大となる498.5mmの猛烈な雨を記録。

輪島市内にあるスーパーの店主が“浸水の始まり“を撮影した映像には、21日の午前9時過ぎに徐々に店内に茶色い水が入ってくる様子が捉えられていました。

店主「浸水してきました…」

外に出ると、周囲の大部分は冠水しており、足首がつかるほど水が迫っていました。近くを流れる鈴屋川は、勢いよく流れる濁流が今にも橋をのみ込みそうです。

店に戻ってしばらくすると、店舗全体に水が浸入。1階は危険と判断した店主らは、屋根へと避難します。

店主「うわあ、津波よりひどい…うわぁ…もうすぐそこまで来てる」
浸水し始めてから、1時間もたたないうちに辺り一面が冠水。店の2階部分に迫るほど濁流が押し寄せていました。

「もとやスーパー」本谷一知社長(46):
地震の後にとどめを刺されたなという感じで、もう心が折れた感じです。

――今何から手をつけようと考えていますか?
もう何もできないですよね、電気・電波・水道いつ来るか分からない状態で、とりあえず自分らが生きていくために食べて、寝られてというところから始まります。
今回の大雨で特に目立ったのは、河川の氾濫による被害。

石川県によると、21日に氾濫した川は少なくとも16河川に上り、輪島市の久手川町では塚田川が氾濫。住宅4棟が流され、4人が安否不明となっています。
「地震よりひどい」川の氾濫で被害拡大
珠洲市でも、21日からの24時間降水量が315mmと観測史上1位の雨量を観測。各地に甚大な被害をもたらしました。

若山川が氾濫した珠洲市若山町。
川のすぐそばには大きく傾き、今にも濁流に流されそうになっている家がありました。

傾いた家の住人:
あーもうダメだ。もうダメ…。つい10分、15分前まで立っていたんですけど。あー何もかも流されちゃう。あーもう…あー…どうしよう。信じられない。

途方に暮れていたのは、大きく傾いた家の住人。家を建ててからまだ7年しかたっていないといいます。

流されそうな家の住人:
瞬間的に雨が降って、まずは車を逃さないと、と思って車を高台に上げに行って、その時まだ…だったんですけど、すぐそこに行って帰ってきたら、もうブワーッとみるみる湖になって。
向こう岸の車置いた道路まで渡れなくて、落ち着いたら荷物だけでも取り出せればと思ったけど、家が流されたらもうなんにもなくなっちゃう。物も取り出せない。
おばあちゃんのお骨がまだ49日たってなくて、お骨が(家の)中にあるんですけど、おばあちゃんのお骨も…取り出せなかった…。

家の中に、濁流が流れ込んだという家もありました。
70代の夫婦が住む家は、流れ込んだ水で床が泥だらけに。泥の掃除をしながら、2人でぬれた畳を運び出そうとします。

床上浸水した家の住人:
ぬれているから重たい…持てないの。普通はこれ1人で持てるんですよ。

取材スタッフ:
お母さん・お父さん、良かったら僕まだ若いと思うので少しだけ手伝います。

ぬれた畳を運び出すのは、かなりの力のいる作業。取材スタッフも、片付けを手伝います。
床上浸水した家の住人:
すみません、ありがとうございます。助かりました。

床上浸水した家の住人:
(能登)地震よりうちはひどいので。
(災害が)何十年に一度って言うけど1年に2回もあった。(住み続けるか)どうしようかって迷ってるね…。

能登半島地震が起きてから、わずか9カ月で起きた新たな自然災害…、被害の全容はいまだ分かっていません。
(めざまし8 9月23日放送)